太陽光とアロワナの色揚げ
★太陽光の照射飼育例★
『太陽光は、アロワナの色揚げに必要か?』


この疑問について、私はずっと悩み続けていた。太陽光によりア
ロワナが紅くなるなら、現地の養殖池のスーパーレッドは真っ紅
なはずである。
一日中、太陽が燦々と降り注ぐ環境で飼育されているからである。
しかし、現地でもオレンジ色のアロワナがたくさん泳いでいるの
が現実だ。これは、アロワナの体色は血統(遺伝)が第一優先さ
れるためであろう。つまり、オレンジの血統(遺伝)を有した個
体を、太陽によって紅くすることは無理ということなのである。

しかし、私の頭の中には数年前から或る疑問が存在し続けていた
・・・。私が現地よりアロワナを輸入し始めてから5年、今までに
数千匹のアロワナを日本に輸入した。その中には、かなり発色し
ている魚、真っ紅に発色している魚も多く存在したが、その殆ど
がP.Tモンジュールの魚である。現地ではこれらの固体を飼育
する際、良い魚ほどガラスの水槽に単独で飼育し、その水槽も日
本のショップのように部屋の中ではなく、全て屋外に設置してあ
る。つまり、水槽の設置場所によっては長い時間太陽光が当
たっている
のだ。


『なぜ色が褪せるのか・・・?』

       
私は今までに、このような環境で飼育された魚も数多く買い付け
てきた。しかし、輸入後にその中の何匹かは、私の店で数ヶ月間
の飼育中に段々と色が褪せてしまったのである。
私はこの現象が起こる度に『なぜ色が褪せるのか・・・?』をい
つも考えたのだ。
〈現地の水と日本の水の違いに原因があるのか?〉
〈食の違いが原因なのか?〉〈環境の変化によるストレスが原因
なのか?〉〈太陽光が原因なのか?〉と・・・。

しかし、原因は何にしても現実に色が褪せると言うことは必ず何
かの原因があるはずである。ただ、これらの要素のうち、水・餌
などには普段から十分に気を付けている私は、太陽光の重要性
を感じていた。
なぜならば、当然のことながら私の店の水槽には太陽光など当た
るわけもなく、紛れもなく一番欠けていた環境要因であったから
である。

回答を見いだしてくれる一匹のアロワナ

そんな最中、この疑問に回答を見いだしてくれる一匹のアロワナ
が、今から一年半前に当店にやって来た。その魚は2年前に、私
がモンジュールより30cmの体長で輸入したものであり、入荷し
た当時、このサイズでは抜群の発色をしていた。誰が見ても、将
来真っ紅になるのが解るくらい素晴らしい色だったのであった。
その後、その個体は或るマニアの方に引き取られ、約半年間飼育
された。
しかし、ある事情により手放すことになり、再び当店に戻って来
たのだ。僅か半年足らずでこの個体は体長は40cm位に成長して
おり、色彩は目を見張るほど真っ紅に発色していた。ところが、
当店に来て1ヶ月位過ぎた頃から悪夢とでも言おうか、色が段々
と褪せてしまったのである。
きっと元の真っ紅な色に
「よし!今度の魚は日本国内で紅くなり当店で色が褪せたのだか
ら、この魚を飼育していたマニアの方と同じ条件にすれば、きっ
と元の真っ紅な色に戻るはず。」 そう確信した私は、まず基本
的な飼育要因である水質、水温と餌を同じ条件にしてみた。因み
に、水質は軟水のPH:3〜4の酸性、水温は30℃、餌はコオ
ロギであった。
しかし、この条件で約2ヶ月飼育を続けたが、元の紅い色には戻
る傾向も見られなかったのだ。

残る相違点は、水槽の大きさ、そして太陽光である。水槽の大き
さはマニアの方の水槽は3m、当店の水槽は1.5mであり、太陽
光についてはマニアの方は南の窓側に水槽を設置していたため、
昼頃から夕刻まで太陽光が当たっていたが、前記したとおり、当
店では一日中太陽光を当てることはできなかったのである。


ほぼ元の色を取り戻した

この二つの要因に絞り込んだ私は、何とか太陽光を当てられない
ものかと考えていた。そんなときに、或る雑誌で「太陽光採光シ
ステム」という太陽光を室内に取り入れられる装置
の広告が
目に留まった。「これだ!これなら南側に窓がない部屋でも太
陽光が当てられる。
もし、この装置を使って色が元に戻らなけ
れば、原因は広い水槽から狭い水槽へ移したことによる環境の変
化がもたらしたストレスが原因と言うことになる。」と考えなが
ら、期待と不安の中でさっそくこの装置を1台購入したのである。

「太陽光採光システム」の屋外設置を完了し、新しい環境での
飼育が始まった。太陽光を水槽の中に注ぎ、注意深く魚の変化に
気を配りながら状況を見守っていたが、しばらくして少しづつ体
色に変化が見られ始めたのだ。少しづつではあったが、間違いな
く元の色に近づきつつあることを確認できるようになり、この条
件での飼育期間が一年半経過した今、ほぼ元の色を取り戻した
のだ。

如何にして100%引き出すか

この経験から、少なくともアロワナに関しては、体色に対して太
陽光がある程度、作用しているのではないかと考えられるのだ。

しかし、全てのアジアアロワナが紅くなるわけではない。紅くな
る遺伝子を持たない個体に太陽光を当てても紅くはなるわけがな
いのだ。私が言いたいのは紅い色を発色させる遺伝子を持つ固体
は飼育条件により、紅色の発色を100%引き出すことができる
と言うことだ。その固体の持つ素質を如何にして100%引き
出すか
?が重要なのだ。
今、日本全国には何万匹の紅くなる遺伝子を持ったアロワナが飼
育されているが、その中で、何割の固体が100%の素質を引き
出されているのか・・・?

最後に、過去の経験と今回の経験により私の見いだした結論をま
とめてみると、紅い発色をする遺伝子を有したアロワナを100
%紅く発色させるための条件は70%が遺伝子によるものだとし
たら、残りの30%は飼育環境により影響を受ける部分であり、
更にこの中の10%は、太陽光が大きく影響していると考えて
いる。

ASIA AROWANA PRO SHOP
 龍魚世界・ポンティアナ


        坂本 孝治